拘置所での楽しみと言えば様々な、
お菓子を買えることだ。警察に居る間は
食べるものも限られており、
誰もが早く未決に送ってもらいたいと願うものだ。
朝食が終わると購入品の配付が行われる。
3日前、私の2つ隣に新入が入って来た。
初めての購入だから、さぞかし楽しみだろう。
どんな買い物をしているのか聞いてやろうと耳を澄ました。

「かっぱえびせん1個、ポテトチップス1個、うす焼せんべい1個」
と看守が確認しながら購入品を舎房に入れる。菓子類が多いようだ。
「ようかん1個」
ここで甘いものが来たか、フムフム。
「とんかつソース9個」
えッ、9…。一瞬耳を疑った。缶コーヒー位の大きさのソースだ。
ソースで何か気持ちよくなれるのか?
「ちょっと待って下さい9ですか?」
「おう、注文したことになっとるな…」
刑務所も、拘置所も、購入はマークシートという用紙があり、
購入したいものを記載して下段の数部分を塗りつぶす。
これを、コンピューターに読み込ますことで購入申し込みが行われる仕組みだ。
どうやら塗りつぶす箇所を間違えたようだ。
「取り敢えず、部屋に入れるわ」
おいおい、そんなソース9個も入れられても困るやろ。
「入れんでええわ、頼んでないわ」
「アホか、頼んどるから、来とるねん」
と看守は言う。
「今、アホて言うたやろ」
「言うてるか」
と看守はシラを切る。
「聞こえたわい」
「しつこいなお前も」
「〝ドカン〟」
ドアを蹴る音がした。
ドアを蹴るとすぐに非常ベルが押される。
10人ぐらいの看守が来た。
「出てこい、ガチャガチャ」
とドアが開く。
「アホかそいつがアホ言うたんじゃ」
「止めんか、こらー、ソースを投げるな」
看守にソースを投げつけたようだ。
「出てこい、コラ」
隣人は看守らに腕をつかまれ連行されていった。
