陳 (48) 強盗傷害 懲役7年
刑務所にはさまざまな外人がいる。
語学の勉強をするにはもってこいだ。
英語は基より、フランス語・ドイツ語・
ポルトガル語・韓国語・中国語と
言葉が違えば性格や生活習慣も違う。
同じアジア人でも韓国人はおとなしい。
それに比べ中国人は煩いぐらいよく喋る。
5人位がかたまってワイワイ、ガヤガヤと
大きな声で笑っていて、懲役が苦にならないのかと思う。
中国人は喋ってばかりだ。野球にも参加しない。
サッカーにも参加しない。
一度バレーボールに誘ったことがあるが全然ダメだ。
一体何が出来るのかと尋ねると何もできないと答える。
中国には、あまりスポーツは浸透していないのかと思い
食文化について尋ねてみた。
私は一度中国に旅行したことがある。
中国人は何でも食べる。
市場にはさまざまの食材が並ぶ。うさぎや、こうもりもいた。
レストランに入ると大きな水槽の中にたくさんの
魚介類がいて、その場で料理してくれる。
その隣にはカメや蛇もいた。
中国では犬も食べる。犬の肉のことを甘肉と言い、
高級料理に分類される。
普段はどんなものを食べているのか、
気になって中国人受刑者の陳に聞いてみた。
陳は私よりも3歳上で陽気な中国人だ。
「すずめは中国でも食べたりするの?」

「中国でもすずめは食べるよ」
と言う。
「じゃあハトは食べるの?」

「ハト美味しいよ」
と普通に答える。ハトの味を思い出しているようだ。
「犬も食べるだろう?」

「犬、犬美味しいよ」
と犬のおいしさを知らないのかと
言わんばかりに言葉に力がこもる。
まさかネズミはたべないだろうと思い、
「ネズミは食べないだろ?」

と聞くと、陣は、またしてもあんなに
美味しいものを日本人は食べないのかという表情をして
「ネズミおいしいよ」
と声のトーンを一段、上げて熱く語ってくる。
やはり中国人の食文化というものは日本人と違うようだ。
まさかネコは食べないだろうと思って、
「ネコは食べないだろ?」

と聞くと陣は更に声のトーンを上げて
「ネコ、ネコおいしいよ」
と言う。正直、吃驚した。
やはり中国人は何でも食べるようだ。
最後にもう一つだけ聞いてみたい事があった…
まさか、人間は食べないだろうと思って
聞こうと思ったが、やっぱり聞かなかった
神戸刑務所の運動時間でのことだ
吉田 (50) バラバラ殺人事件(死体遺棄) 懲役15年
見た目はとても残酷なことをするように
見えないおっちゃんだ。
刑務所では誰がどんな罪を犯して、刑務所に来たのか
調べることは出来ないが、自分から話すことが多いので分かる
受刑者は退屈なので誰か、話をする相手を探している
ある、運動の時間に私に話しかけてきた
「私、妻をバラバラにして捕まったんですよ」
といきなりカミングアウトしてきた
少々のことでは眉一つ動かすことのない
私だが、少しだけ眉が動いた
吉田は焼き鳥屋を経営していた。
妻がいて子供はいなかった
夫婦仲は良く、二人で散歩など、よくしたそうだ
お酒が好きで、友人とよく飲んだり、麻雀もよくしていた
店の経営は順調だった。定休日以外は毎日、働いた
店にはパートの女性がいた。
吉田はこの女性と不倫関係になってしまった
妻には麻雀と偽り朝方までホテルで過ごした
絶対にバレないだろうと高をくくっていた
ある日、友人から
「お前の奥さん、アダルトビデオにでているぞ」
と言われた
吉田は信じられないと思ったが友人の家に
アダルトビデオを見に行った
そこには妻に間違いない人物が映っていた
ビデオの題名は「人妻図鑑」だった。
吉田は激怒し、アダルトビデオを持ち帰った
そして妻に向かってビデオを差し出し
「これは、どういうことだ」
と詰め寄った
妻は
「あなただって、浮気してるでしょ」
と開き直った
吉田は我慢できずに手を挙げた。
ビンタではなく拳で顔面を殴打した
余りにもきつく殴りすぎたのか、妻は
その場で気絶し、意識を失った
倒れた妻のスカートがはだけて太腿が丸見えになった
吉田はアダルトビデオのシーンを思い出した
吉田は憎らしくなって、首を思いきり絞めた
暫くして、気が付いた時には妻は息をしていなかった
急に怖くなって、死体を隠そうと考えた
吉田は近所のホームセンターでノコギリと
大きめのゴミ袋を買ってきた
そして人間を分解していった
私は
「切断に抵抗はなかったのか?」
と尋ねると吉田は
「抵抗は無い、骨も簡単に切れた」
と同じ抵抗だが物理的な抵抗だと勘違いしたらしく
この答えに唖然とした
やはり尋常ではない
吉田はバラバラにした〇体を店にある大型冷蔵庫に隠した
パートの女性には妻が家出したと告げた
吉田は何食わぬ顔で店をパートの女性と営んでいた
バラバラの〇体は少しずつ生活ゴミに出した
一週間が過ぎたころに妻の友人が突然、店に現れた
妻と連絡が取れないので来てみたという
その友人には妻が家出した旨、伝えて帰ってもらった
一か月が経過した。完全犯罪が成立した
しかし、二か月が経過した頃から異変が起き始めた
鳥をさばく際に使用している包丁に
一瞬だが妻の姿が映るようになった
そして幻覚は段々エスカレートしていった
店の前を自転車で横切る妻の姿が見えた
妻の夢を見るようになってきた。
そのようなことが毎日続いた
吉田の精神は徐々に蝕まれていった
体重が40キロを切った。
今度は幻聴まで聞こえるようになってきた
「何故、わたしを〇したの?」
いよいよ最終段階に入った、精神が限界を迎えたのだ
吉田は頭がおかしくなって警察に飛び込んで全てを自白した
吉田は免業日に経を唱えている
免業日には昼寝が許可されている。号令と同時に経を唱える
人間、悪い事をするものじゃない
吉田は誰かに話を聞いてもらいたかったに違いない
刑務所では自分の犯した罪を告白する者が多い
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