全国でC型肝炎に感染している患者は
300万人を超えると言われている。
予防接種の注射針を使い回したことや、
薬害などの理由があげられる。
これは厚生省の責任かもしれない。
しかしC型肝炎を蔓延させたのは厚生省だけではない。
法務省もC型肝炎の蔓延に一役かっている
ということを知る人は少ない。
昭和から平成に変わる頃、
私は堺拘置支所という所に勾留されていた。

その頃は現在のように自分専用の
剃刀などはなかった時代で、
T字剃刀を使い回しで髭剃りを行っていた。
C型肝炎に関する知識もなく、
剃刀を共有することに何の疑問も抱かなかった。
入浴の時間は15分と決められており、
順序よく行動しなければ時間内に入浴することができない。
いつも髭剃りでもたつく、それは剃刀が切れないからだ。
石鹸を頬から顎に塗りつける。
曇って見えない鏡に湯を掛ける。
無精髭を生やした不細工な男が鏡に映る、
惨めになる瞬間だ。
鏡の上部に掛けてあるT字剃刀を取り、
頬から顎にかけて一気に下ろす。

車のワイパーが視界をすっきりさせるように
髭はきれいに剃れる予定だ。
〝ガリッ…〟全然剃れない。時間がないので焦る
〝ガリッ!…〟少し赤くなった。肌が切れて血が出てきた。
「おやっさん、これ全然剃れませんわ」
と言うと
「血が出るということは切れるということや。根性だしてみぃ」
と看守は言う。時間がない、何とか剃ろうと試みる。
曇った鏡に湯をかける、顔中血もつれになっている。
少しでも髭を剃りたい、数か所から血が出ている。
そこに入浴終了の号令がかかる。
拘禁されるまで私は毎月、献血を行っていた。
私は刑の執行を猶予され、社会復帰ることができた。
久しぶりに献血を行った。
当時は献血をすると、
採血検査結果報告書が送付されるシステムだった。
1ケ月程すると献血の結果が届いた。
採血検査結果報告書には
「最寄りの病院で肝炎の検査を受けて下さい」
と記載されていた。
当時はC型肝炎とは言わず、非AB型肝炎と呼ばれていた。
また「以後の献血は御遠慮下さい」
との内容も同時に記載されていた。
C型肝炎に感染したのは、消毒されていない
剃刀の使い回しが原因だと思った。
私は、後にインターフェロン治療を行い、
C型肝炎を治療した。
インターフェロンはもともと抗癌剤で、
注射をすると熱が出る、髪の毛が抜けるといった
副作用があり大変な治療であった。
当時は保険適応外であったため、高額な治療費を支払った。
後に服役した時に、このことを職員に確かめると、
やはり大阪刑務所でも剃刀は使い回していたと言う。
平成17年になって、ようやく一人に一本という、
自分だけの剃刀を貸与するという処遇に変わった

剃刀の使い回しが原因でC型肝炎に
感染したという可能性は多分にある
現在もC型肝炎に苦しんでいる方もいるだろう、
C型肝炎を蔓延させたのは厚生省だけではない
ということを記載しておく。
どうせ受刑者だからという考え方は今も変わらない。
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