私の事件 ⑤

8人くらいの捜査官が白い手袋をはめて中に入っていった。

まず壁に掛けてある防弾チョッキとホルスター

(脇のところに装着する皮でできた拳銃入れ)が見つかる

 

「班長、こいつワシらよりええやつもってまっせ」と捜査員の一人が言う

「こいつはホンチャンを持っとるな、もっとよう捜せ」

と班長が言う

 

拳銃は屋根裏のややこしい見つけにくいところに隠してある。

 

玉も100発くらい近くにかくしてある。どうか見つかりませんように……

と願う。5分ぐらいして

「班長、出てきましたで」

と捜査官がSW38口径の拳銃、一丁を持って出てきた

「やっぱり出たか」

警察では拳銃を挙げると手柄になる。

 

「あ痛っー、出ましたか」

と頭をかきながら瞑っていた片目を開けて班長を見る

「芹ちゃん、こいつはあかんやろ」

と嗤っている。いつの間に芹ちゃんになっている

「まあ、事情は署で聞かせてもらう、ギョク(玉)は何処にあるんや」

「あのう、それは死んだ兄弟分の形見でしてギョクは持っていません」

と嘘をつく。玉が出てくれば火薬取締法にも抵触する

 

「形見なあ…」と独り言のように班長が呟く

ヤクザは拳銃が挙がった場合、大体、入手経路を聞かれることを想定して

死んだ人間の名を言うことが相場と決まっている

 

私は手錠に腰紐状態で班長の横で項垂れる。

暫くして捜査員の一人が

「班長、ギョクはみつかりませんねぇ」と言う、班長は

「こいつはボディガードや絶対に持っとる、よう捜せ」

と命令する

 

また暫くして捜査員の一人が

「やっぱり、ギョクはみつかりませんでした」

と報告しに来た。班長は

「そしたら、帰ろか」と言った

 

内心ホッとした。玉は倉庫の鉄骨に吹き付けてある

耐火用のロックウールを

くりぬいてその中に埋め込んでまた

ロックウールで蓋をしていた。

 

班長は

「芹沢、ちゃんと聞ける話をせいよ」

と言う

 

「はい、でも事実なんで……」

「アホかヤクザはみんな、そう言うんじゃ」

と言って別の車に乗り込んでいった

聞ける話とは入手経路を吐けよという意味だ

 

帰りの車の中で山田のおやじさんが

「残念やったなあ」

と慰めてくれる

「これで懲役も少し延びるなあ」

とまた慰めてくれるが私は玉が出なかったことでホッとしている最中だった。

 

銃刀法違反か、これで二度目だ。

営利略取に監禁致傷、銃刀法が加わったぐらい、懲役が1年ぐらい

延びるだけだと自分に言い聞かせていた

 

しかし事件はこれだけで終わらなかった。留置所内で更なる事件が待っていた。


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