勾留されてから20日目頃の出来事だ。蒸し暑い夜だった。
何時もなら9時の就寝後、1時間くらいは部屋の後ろにある
窓は閉めたままになっている。
クーラーの冷気がまだ残っているし、その間にみんなが
寝るというのが慣習になっていた。
しかし、この日は違っていた。9時に担当が「就寝」と号令をかけたのと同時に
係長が後ろにある窓を次から次に開け放っていった。
丁度、銃刀法で再逮捕されたから、懲役は4年ぐらいかなと考えていたところ
だったので、イラッとした。私は係長に
「おい係長、何で今、窓、開けるねん?嫌がらせか?それとも、
やっつけ仕事かいな?」
と言ってやった。すると係長が
「いや、1房の者があけてくれって言うからや」
と平気で嘘をついた。
私は10房だったが遠く離れた1房に大きな声で
「おい、1房、窓をあけてくれと係長に頼んだんか?」
と尋ねたら1房の者が
「そんなこと、言うてませんよ」
と返事が返ってきた。ラジオも消えているので声は全房に聞こえる
係長はまさか一番端の10房の私が一番離れた
1房に聞くとは思っていなかったようだ
嘘をついても大丈夫だろうくらいに思っていたのだろう
実際に横着な警察官は多いのでよく収容者と衝突を起こす。
留置所では懲罰などという罰が無いため、
やりたい放題、言いたい放題の部分がある
まず2房が反応した
「コラッ、係長、嘘つくな!」
と言って便所に取り付けてある頑丈な鉄の扉を開けて思いっきり閉めた
「バーン」
という大きな音がした。次に5房も反応した
「コラ、係長、定年前やからって、やっつけ仕事すなよ!」
と言って2房と同じことをした。
すると他の房も連鎖して同じことを始めた
あちらこちらで便所の扉を開け閉めする音が聞こえた
鉄筋コンクリートでできている警察署では他の階にも響く。
その音を聞きつけた当直の刑事が20人程、留置所の中に入ってきた。
その刑事が私の房の前に来て

「お前か、こんな騒ぎの首謀者は、ドチンピラめ」
と私を罵倒してきた。私は
「アホか、係長の嘘にあきれてみんなが勝手に始めただけじゃ」
と言うと警官(和田)は
「やかましいわ、ドチンピラ、かかってこい」
と悪態をついた。私は檻のなか、相手は檻の外
「お前、かかってこられへんと思うて好きなこと言うな」
と冷静に言い返した。
すると和田は私の顔に唾を吐きかけ
「悔しいやろ、ボケ」
と警察官であるまじき最低の行為をした。私は
「汚いことするなよ」
と言って房内の便所にある手洗いの所で顔を洗った。
しかし、どうしても気持ちが悪いので
「顔を石鹸で洗わせろ、鍵を開けろ」
と係長に言った、係長は
「顔を洗わせたるけどすぐに房にもどれよ」
と言った。普通は鍵を開けないところだが責任でも感じたのだろう
私は房を出て洗面台に向かって歩き出した。すると先ほどの無礼な和田がいた
ここは相手をしてはいけない場面だったので和田の横を無視して通ろうとしたとき
和田が目の前に立ちふさがって、言ってはいけない一言を言った
「かかってこいや、ドチンピラの弱虫」
と言った。私はこのドチンピラと弱虫という言葉に反応してしまった
「オイサー」
という掛け声と共に和田の顔面にバチキを一発放りこんでやった。
「ゴツン」
という大きな音と共に和田が床に倒れて失神した。
即座に他の警官が飛びかかつてきたので、
そいつの顔面にも右ストレートを放りこんでやった。
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