分類調査表をもとに、どこの工場で働かせるかを決めるのだが、

このことを配役審査という。

刑務所にはさまざまな職種があるがアメリカのように自分で

選ぶことはできない。

食事を作る工場や、刑務所内の清掃をする工場もある。

 

建物を修繕する工場や、洗濯をしてくれる工場もある。

受刑者の給料計算をする工場もある。

 

その他の工場は一般工場と呼び70名から80名の受刑者で

構成されている。

各刑務所によって生産しているものは違う。

刑務所から出た利益によって刑務所で消費する食物の購入や、

電気代、水道代などを賄っている。不足する分は国から支払われる。

 

刑務所での作業は毎日のことだから、辛い作業だと刑務所生活が

長く感じられるだろうし、楽な作業だと刑務所生活が

短く感じられる。精神的に大きな違いがある

 

どこの工場に配役されるかは分からない。

懲役に人気の工場はまず統計工場だ。

統計工場は刑務所の中でも超エリートしか行けない工場だ。

人員は10名程だ。

入れ墨をしている者は一人もいない。

 

受刑者の給料計算だとか、工場の収支計算などをしている。

統計工場が人気なのは冷暖房完備の室内で作業ができることだ。

 

一日の大半を工場で過ごす受刑者にとって、

冬は暖かく夏は涼しいという天国のような環境なのだ。

 

次に人気なのは炊事工場だ。食べ物を扱うだけあって余禄が多い。

また、懲役の楽しみでもある風呂に毎日入れる。

これを汚染入浴という。

 

汚染入浴とは通常、入浴は週二回だが、汗だくになる工場では、

毎日入浴することが許可される。

 

入浴しなければ居室や寝具を汚すからだ。

ただし入浴時間は10分と短い。それでも毎日、

風呂に入れるということはありがたい。

炊事工場は朝が早く夕方も遅い、一般工場の受刑者よりも、

作業時間が長いため仮釈放の日数が多い

 

次は図書工場だ。自分の好きな本をいくらでも読める。

受刑者に貸与していない本も多数あり、自分たちだけの本棚がある。

図書工場も人員は少なく15名程だ。

 

懲役の楽しみといえば食うことと、読書と、風呂ぐらいしか

楽しみはない。

 

読書をすると時間の経過が早い、何より字の勉強になる。

 

娑婆だと雑誌をパラパラとめくるぐらいのものだ。しかし、

刑務所では皆が読書家になる。

 

次は営繕工場だ、営繕工場も汚染入浴がある。

たとえ10分だろうが、入浴は気持ちがいい。

 

営繕工場も人員は少なく30名程だ。

営繕工場のよい所は色々な場所に行けることだ。

 

毎日が同じ場所で同じ作業を繰り返すというのが刑務所の生活だが、

毎日違う職場で違う作業をする。

要するに飽きないということだ、懲役にとっては大きな魅力だ。

 

そして次は内掃工場だ、内掃の仕事は主に刑務所内の清掃だが

受刑者の配食も内掃の仕事だ。

 

大阪刑務所は3つの区分に分かれている。

それぞれに内掃工場がある。内掃工場も配食等、

食べ物を扱う分余禄がある。

 

次は洗濯工場だ。洗濯ばかりしているかというとそうでもない。

工場着、舎房着の寸法直しという洋裁も行っている。

 

上衣を大きくするために背中に割を入れたり、

ズボンを長くしたり、太くしたり自由自在だ。

洗濯工場の受刑者たちは、みんなが身体にピッタリの

新品の服を着ている。

 

ここまでが刑務所のエリートと呼ばれる職業だ。

仮釈放は一般工場よりも多い。当然ヤクザは仲間に入れてもらえない。

 

ヤクザは最初から不利益を被ることになる。

 

一般工場だが大阪刑務所には29の工場がある。

 

中でも特殊な工場が4つほどある。

1工場と2工場は年寄りや身体の不自由な者たちで構成されており、

紙折りだとか袋詰め等、簡単な作業しかない。

 

通常のスピードで作業が行えない。

モタモタとしか作業が進まないことから

「モタ工場」

と呼ばれている。人員は共に70名から80名だ。

 

次に16工場、この工場は長期ばかりを収容している工場だ。

人員は35名程でそのうち26名までが無期刑だ。

 

この工場は仏壇を製作している。

刑期が長い分、熟練工も多く、職人の域に達する受刑者も多い。

 

私は当時、短歌クラブを受講しており、全員で7名の受講者がいた。

私以外はみんな16工場から来ており全員が無期刑だった。

30年以上務めているというベテラン受刑者が2人もいた。

 

そして17工場、この工場は印刷工場でインクの関係上、

工場内の温度を一定に保たなければならないことになっている。

だから夏は涼しく、冬は暖かい。

 

私が務めていた工場では一時期、メモ帳を製作していたことがあり、

材量の紙を何度か、17工場に取りに行ったことがある。

 

この工場で作業する受刑者を羨ましいと思った。

この工場は一般工場なので、ヤクザ者も多数いた。

 

その他の工場は、ミシン工場や軽金属の工場が25ほどある。

刑務作業の中でも一番きついのが金属工場で、油や金属のカスで

身体がかなり汚れる。いくら汚れても汚染入浴がない。

 

ヤクザ者の配役先は、大抵が金属工場で、

このような工場をサムライ工場と呼ぶ。

金属工場は、コテコテのヤクザ者が集まるヤクザの社交場だ。

作業は辛いが何かと楽しい。

 


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