考査訓練、分類調査 ②

考査工場の椅子はすべてが丸椅子で椅子に座る時も座る動作に

順番がある。

まず丸椅子の真後ろに立つ、丸椅子を少し手前に引く、

丸椅子の右横に移動する。必ず右と決められている。

 

丸椅子と机の間に入り着席する。丸椅子なのでついつい丸椅子を跨いで座ってしまう。

このようなことをすると大変なことになってしまう。

「今から椅子に対して、椅子さん、ごめんなさいと大声で50回謝れ」

と職員から指導を受ける。

 

陵虐とも取れる発言だが受刑者は従わないわけにはいかない。

反抗すると懲罰になる。馬鹿げた話だがすべて本当のことだ。

 

刑務所では看守が絶対的な権力を持っている。

官(刑務所)を相手にケンカをしても勝てることはない。

損することはあっても得することは一つもない。

考査工場での作業は洗濯バサミを組み立てるという

簡単な作業が用意されている。

 

あまりにも簡単な作業なので嫌気が差してくる、

典型的な刑務所の作業だ。

 

作業に取り掛かる際と作業を終える際にも動作に細かい

順番が決められており、

 

順番の通りに行わなければ何度でもやり直しをさせられる。

動作一つ一つに細かい指導が行われる。

いい加減、ダラダラは決して許されない。

 

食堂に入る際には職員に向かって大声で、一人ずつ順番に

「手洗い、うがい、お願いします」

と大声で叫ばなければならない。

 

声が小さい場合は、何度でもやり直しをさせられる。

毎日、毎日、同じことを大声で叫ばされる

 

職員の指導に従わない者は即、懲罰になる。

懲罰から明けると、また考査訓練を最初から始めなければならない。

 

入浴の訓練もする、風呂場でも大声を張り上げて

「2141番、芹沢です、剃刀貸与お願いします」

と看守に言わなければならない。

声が小さい場合は何度でもやり直しをさせられる。

 

因みに考査の剃刀は、マイ剃刀ではない。

他人が使用ものを使い回している。

 

入所時私物検査に2日はかかるので、私は電気シェーバーが

上がってくるのを待った。

私物が上がってくるまで私は髭を剃らなかった。

 

電気シェーバーの無い者はやむを得ず、消毒しているのか

どうか分からない剃刀で、髭を剃らなければならない

 

後ろで待っている者はたまらない。入浴時間は15分と決めら

れているので剃刀を借りる練習だけで入浴は終わってしまう。

考査訓練は規則に従うということを徹底的に学習させるもので、

未決囚から受刑者に変わったということを

自覚させるための訓練でもある。

 

刑務所の門をくぐった瞬間から今まで多少なりともあった自由は

極端に制限され、自由という環境のありがたさを

思い知らされる最初の場所が考査工場だ

 

考査訓練の間に受刑者をどこの工場に配役するのかといったことが

審査される。

 

参考にする書類は分類調査表というもので個人情報が記載されている。

かなり詳細な部分まで記載されていることに驚かされる。

 

調査表には受刑者の現住所・家族構成・身体の状況・今までの犯歴・

精神分析・知能指数・今回の事件の概要・動機・原因、

生活歴が記載されている。

 

生活歴とは受刑者が出生した時の親の職業や、生活の水準、親の躾は

どうだったか、学校での態度、親に離婚歴があれば、

離婚に至った原因までが事細かく記載されている。

 

個人にとっては、他人にもっとも知られたくない

情報ではないだろうか。

しかし、このような情報を何時、どこで、誰がどのようにして入手したのか驚くばかりだ。

 

受刑者本人も知らない情報が記載されているのだ。

親の躾などどのように調べたのだろう。

 

このような情報が懲罰で落ちるたびに新しい工場長に

見られることになる。受刑者たちはこのことを知らない。

 

工場長は国家公務員であるから、職務上知り得た情報を

漏らすことはない。

このような情報が、もし、受刑者に漏れでもしたならば、

重大な個人情報の漏洩となるだろう。


コメント

“考査訓練、分類調査 ②” への1件のフィードバック

  1. 興味があります(๑˃̵ᴗ˂̵)

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