雑居にはその他細かいルールが、色々とある。
食事中は全員が食べ終わるまで席を立たない。
テレビの位置が変わらないように床にはマジックで
印がつけられている。掃除の後は元の位置に必ず戻す。
夏場だと毎日寝る場所を変更する、扇風機の風が当たる、
当たらないでケンカになるからだ。
雑居に扇風機が設置されたのは平成16年からだ。
独居に扇風機はない。洗面の順番も古い順からと決められている。
舎房での生活は雑居と独居とでは大きく異なる。
雑居房では8名が同じ部屋で生活している。
最初の間はワイワイ、ガヤガヤと楽しいが
一通り話も尽きると疎ましく思えてくる。
我慢の始まりだ。自分が相手のことを疎ましく思えば
相手も同じように思っている。
同じ部屋で生活していると如実に感じられる。
こうなると咳一つも疎ましく思えてくる、放屁なら尚更だ。
人間関係は一度悪化すると修復するのが難しい
社会では嫌な人間とは、係らないようにすればよいが、
刑務所は嫌でも一緒に生活しなければならない。
だから人間関係に悩まされる
受刑者生活というものは規則で縛られ、苦しい事や、
辛いことが沢山あるが、常に自分を戒めながら
生活しなければならない。
不平、不満を言いだすとキリが無い。
刑務所に来る原因を作ったのは、他でもない自分自身なのだから。
神経質な人間は雑居で苦労することになる。
その点、独居では何から何まで自分のペースで
生活できるから余計な気を使うこともない。

では、ありがたい独居にどうすれば移れるのか。
独居は一つの工場に大体35室ぐらいが割り当てられている。
その内15室はF級(外人)用で日本人受刑者は残りの20室だ。
大阪刑務所のF級受刑者は全員が独居で生活をすることになっている。

独居は受刑者に人気で、誰もが行きたがるので順番制になっている。
配役から6ヶ月ぐらい辛抱すると雑居に移れる。
それまでに順番を待っている者が規則違反で懲罰に
落ちたりすると、3ヶ月ぐらいで独居に入れる場合もある。
一度独居に入ったならば、落ちないことだ。
落ちると工場も変わり、また雑居からスタートすることになる。
昼間工場で仕事をして夜は独居で過ごす。
これを夜間独居という。懲役の理想のスタイルだ。
舎房に帰ったら自分だけの時間なのだから、
読書、テレビ観賞、勉強しようと思えば大抵の勉強はできる。
絵の勉強、書道、写経だってできる。
雑居だとこのようにはいかない、雑音が嫌でも入る。
まして嫌な相手と生活を共にする、これほどの苦痛はない。
どうしても生活して行くことが出来ない場合は
相手とケンカするか、何か規則違反をして懲罰になるしかない。
悪党だと言われる人間らが、
最終的に集められる場所がB級刑務所なのだ。
自分勝手な利己中心主義者ばかりで、
誰もが不満を抱きながら、辛抱を重ね、受刑生活を送っている。
刑務所では、暑さ、寒さよりも人間関係、この一言に尽きる。
気の合う人間よりも、気の合わない人間の方が、必然的に多くなる。
刑務所で一番苦労したことは何かと尋ねると、
誰もが人間関係だと答える。
その呪縛から逃れる術は無い。何処にも行けないのだから。
割り切って諦めるしかない。
懲役のベテランは余計なことは、見ない、言わない、
聞かない、人に流されないように生活している。
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