工場成績 ①

大阪刑務所は3つの区に別れている。

 

1工場から9工場までが1区。

10工場から19工場までが2区。

20工場から29工場までが3区だ。

 

刑務所が大きいので、各区に区長、統括がいる。

 

工場には無災害日数、無事故日数、工場成績という順番で、

食堂の上のよく目立つ所に大きな数字で表示される。

 

工場を巡回する処遇部長や統括は、

まずこの数字に着目する。

 

工場で作業中に負傷すると無災害は0になる。

無災害は滅多なことでは飛ばない。

 

作業中に事故が度々あっては困る。

これを飛ばすと工場長は、上司よりこっぴどく叱られる。

場合によっては工場担当から降ろされることもある。

 

無事故はすぐに0になる。誰かが取り調べに、なったり

小票を切られたりすると飛んでしまう。

 

小票とは懲罰まではいかない軽微な違反に対して

切られる反則キップのようなもので3枚たまると懲罰になる。

 

工場成績は工場長にとって一番大切な数字だ。

工場成績は各区、10の工場で順位が争われる。

 

 

出室動作・行進動作・小票訓戒・入浴動作・

解罰配役・工場内整理・整列動作と、

 

この7点について点数が設けられている。

採点は統括らで毎月評価される。

 

出室動作とは、朝食を済ませてしばらくすると

 

〝出室用意〟

と号令がかかる。

かかればすみやかに舎房のドアの前に座って

ドアが開くのを待つ。

 

 

採点はすでに始まっている。

 

〝出室〟

の号令と共にドアが開く。

ドアが開くと廊下に順番に整列していく。

 

ここまでが出室動作だ。ちなみに刑務所内の

ドアの開閉はすべて看守が行う。

どれ一つとして自分で開閉できるドアはない。

 

出所して間もない時はドアの前に立って

誰かがドアを開けてくれるのを待ってしまう。

 

このことを懲役ボケという。

受刑者は何をするにも職員の許可が必要だ。

 

受刑者は看守の目を盗み、

これでもかというぐらい違反を重ねる。

 

出室動作中は交談が一切禁止されている。

しかし受刑者はしゃべる。

 

まず朝の挨拶をする、昨日のテレビの感想など

注意を受けるまでしゃべり続ける。

このダラダラ加減がB級刑務所のよいところだろう。

 

行進動作は工場に行くまでの行進が

どれだけ揃っているかを採点する。

 

工場長は隊列のまん中ぐらいの者に基準に定める。

 

「○○基準」

と指名された者は拳を作り、耳から真上に向かって突き上げ

 

「基準」

と言って素早く降ろさなければならない。

 

「前、前団、後、後団、歩調とれ」

と号令がかかる。

 

「イチ、ニイ」

と一斉に歩調を取る。

 

「前へ進め」

と号令がかかれば歩調を取りながら前へ進む。

 

 

工場長は拡声器で歩調を取りながら受刑者の横を歩く。

事務所前では特に張り切って歩調を取る。

N本が上司にアピールするためだ。

工場に着くと

 

「全体止まれ」

とここまでが行進動作だ。

行進動作は舎房に帰る時にも採点される。

 

小票訓戒は就寝前にパジャマに着替えたり、

 

 

作業中に脇見や不正交談を行うと切られる。

 

工場成績は一部を除き減点方式によって採点される。

 

昔はタオルを掛ける際、タオルの角と角が

合わさっていなければすぐに小票を切られたが、

最近ではそこまで厳しくはない。

 

入浴動作は不正授受が無いか、

不正交談をしていないかによって採点される。

 

石鹸を隣の者にちょっと貸してもらう。

これは懲罰の対象になり大減点される。

 

シャンプーでも同じことで不正授受になる。

 

脱衣場、浴室の中は一切交談を禁止されている。

しかし受刑者は絶対に、こっそりとしゃべる。

湯に浸かると気持ちまで緩む。

 

解罰配役は懲罰明けの受刑者を取ると加点される。

罰明けはすぐに問題を起こし懲罰になる可能性が高い。

 

工場に来る時には一人で来るが、

出ていく時は、大抵、何人か連れて上がることになる。

このようなことを懸念して罰明けを嫌がる工場長が多い。

 

工場内整理は、如何に工場内が

整理されているかについて採点される。

 

刑務所の工場では腰の高さ以上荷物を

積み上げてはいけない規則になっている。

 

看守から見て死角を作ってはいけないということだ。

上司巡回の通路は特に整理されている。

 

整列動作は、運動に行くにも、

風呂に行くにも移動する前には必ず整列する。

 

その時に機敏に動けているか、

縦横合っているかということが採点基準となる。

 

受刑者は、工場成績がよかった場合慰問など

前の席で見られるという特典がある。

 

以上これまで工場成績の採点について話してきたが

工場長が何故、工場成績に拘わるのか

それには大きなわけがある。


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