訴訟上の因果関係の立証は、
一点の疑義も許されない自然科学的な
証明ではなく経験則に照らして全証拠を総合検討し、
特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を
是認しえる高度の蓋然性を証明することであり、
その判定は通常人が疑いを差し挟まない程度に
真実性の確信を持ちえることを必要とし且つ、
それで足りるものと解すべきである。
民法724条後段所定の除斥期間の起算点は
不法行為の時」と規定されており、
加害行為が行われたときに
損害が発生する不法行為の場合には、
加害行為の時がその起算点となると考えられる。
しかし、身体に蓄積する物質が原因で
人の健康が害されることによる損害や、
一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる
疾病による損害のように、
当該不法行為により発生する損害の性質上、
加害行為が終了してから相当期間が経過した後に
損害が発生する場合には、当該損害の全部、
又は一部が発生した時が除斥期間の
起算点となると解すべきである。
C肝特措法、B肝特措法の除斥期間が
延長されたのは、上記損害の性質を
考慮したものと解されるべきである。

第3.C型肝炎について
C型肝炎ウイルスに感染した経緯を以下に敷衍する
拘置所での入浴時間は15分と決められており、
順番に2名が浴槽につかりその後
身体を洗う場所に移動する。
風呂用のいすに腰掛け身体を洗う。
正面には鏡が設置されており、
鏡の上部にはT字剃刀が引っ掛けてある。
この剃刀を使用しなければならなかった。
行刑法ではみだりに変貌を変えてはならないという規則があり、
髭を伸ばす行為は遵守事項に反することになる
当時、剃刀の使い回しは刑務所でも同様であった。
剃刀は連続使用されるため徐々に切れにくくなる。
それでも髭をそらなければならない。
刃の数は1枚で少しでも横に動かすと
皮膚が切れ出血を生ずる。
入浴時間が制限されているため急ぐ必要があり、
髭剃りの際に顔面から出血する被収容者が多数散見された。
夥しい肝炎ウイルスが付着した剃刀は
次から次へと使い回されるという不衛生な行為が
ごく普通に行われていた。
当時、原告は肝炎ウイルスに関する知識は全く無かった。
しかし公務員である刑務官は
集団予防接種の通達から当然、
肝炎ウイルスの感染を予見できた、
又は十分に認識していたと考えるのが相当である。
公務員が注意を欠いたため
発生したという性質のものではなく、
法務省における法的性質、
即ち行刑施設の管理運営上の行為で、
不法行為を容認した国家は責任を免れない。

入浴時の原告と刑務官との会話を記載する
原告
「おやっさん、剃刀、全然、剃れませんわ」
刑務官
「お前、血が出ると言うことは切れる
ということや、根性出してみろ」
このような不適切な発言に対し、
従わざるを得ない環境下であったことは施設の
関係上から容易に推察できる、
本件の示す公権力の行使である
第4.証拠
本国では1992年より医療機関での
インターフェロン治療が認められることになった。
しかし国民健康保険の適応外であった為、
原告は治療費の捻出に困難を極めた。
家族と相談をして翌年の1993年より、
原告はインターフェロン治療を開始した。
堺市民病院カルテ参照(甲1号証)
当時のインターフェロン治療は副作用が激しく、
脱毛、発熱等、仕事に支障をきたすまでとなり、
半年間という治療継続期間を満了することなく、
3ヶ月で治療を断念した。
最近の検査結果を以下に示す
20〇〇年11月の血液検査においては
S/CO値は14.3と高力価を示していた。
(甲2号証)
20〇〇年6月の血液検査では、
C型肝炎ウイルスは検出されなかった。
(甲3号証)
C肝特措法では既に治癒した者についても
当事者適格を有するとするが、国の過失によって
感染した者は全てが救済対象になると
考慮要素の範囲は拡大されるべきである
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